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[BLEACH] 両片思い 10

[BLEACH] 両片思い 10

イベント終了したので、また連載再開します。
うん。いつのまにか連載です。今更ですので、気にしないでください。

そして、これはpixivにもアップしているのですが、あっちと番号が違ったので、あちらに合わせました。
なのでこれは10話目です。
※ブログではプロローグを数に入れていませんでした。









「今の黒崎サンにはどうでもいい事かも知れないっすけど、もしこの先、普通の人間の女性を恋人にしたいだとか、結婚したいということがあるなら、一度アタシに相談してくださいね」

語尾にハートが見えるような口調でさらりとそう言ったのは浦原サンだった。

俺のスマホの調子が悪くなり(あちらとの通信が異常に乱れる)ちょっと調べて貰うつもりでやってきた俺を「特別料金で色々オプション付けますけど、どうします?」なんて今日も無駄に茶目っ気全開で出迎えた浦原サンは、三十分と掛からず修理を終え、毎度のことながら多額の修理代を請求され、それを虚退治の追加給金で支払い、テッサイさんが出してくれた茶を間もなく飲み終えるところで突然そう切り出された。

「いきなり何の話だよ。それよか本当に変な機能つけてねえだろうな」
「嫌だなぁー黒崎サン。何か付けたならもっと沢山請求してますよ」

にへらと笑った浦原サンの相も変わらない強欲さに若干引きつつ、一応スマホのロックを解除して色々見てみる。取り敢えず大丈夫そうだが、家に帰ったらもう一度念入りに調べようと心に決めた。

「んで何だって?普通の人間の女が何?」
「だーからー。普通の人間の女性と付き合いたいとか、結婚したいとか思ったら、その前にアタシに相談してくださいってことっすよ」
「アンタいつから仲介業までするようになったんだよ。てか、普通にアンタだけには言いたくねえよ」

どうせそれをネタにして遊ぶに決まっている。それが分かっていて報告するバカはいない。

「結構、真剣な話ですよ」
「アンタが言うと滅茶苦茶胡散臭い」
「まあまあそう言わず。今のアナタには要らない話でしょうが、一応脳味噌の端っこには留めて下さいまし」

生憎とこの後の予定もない。胡散臭いのは否めないが、一応『真剣』と言っているのだから真偽はどうあれ聞いておくべきだろう。俺は座布団の上に座り直した。

「アナタは真血だということは当にご存知ですよね?」
「死神の子供って意味だろ」
「ええ、そうです。しかしアナタは単なる死神の子というワケでもありません」

その言葉に咄嗟に浮かんだのはおふくろだった。

「おふくろのことか?」
「その通りです。アナタは滅却師の子でもあります。かつて六大貴族でもあった志波家という死神としてエリートの血筋と、滅却師の数少ない純血統であった黒崎家の血を引いた大変貴重かつ珍しい血筋です。お馬さんでいうならサラブレッドって奴ですね」
「つまり死神と滅却師の子ってことだろ?」
「また身も蓋もないことおっしゃいますねぇ。まあ黒崎サンらしいっすけど。それだけじゃなくて、アナタは自身の中に虚までいらっしゃいます。もうここまで来ると、サラブレッド云々を通り越して、珍獣ですけどね」

またしてもさらりと今度は失礼極まりないことをのたまった強欲商人を睨むが、それで怯む人間(正確には死神)じゃない。

「冗談は兎も角として、アナタはこの世に生を受けた時から潜在的に高い霊力を秘めていました。それが本格的に開花したのはアナタが朽木サンと出会い、彼女の死神の力を譲渡されたその瞬間からです」

十五歳の時。俺はルキアから死神の力を譲り受けた。それが全ての始まりだった。
それまでも生まれた時から、霊を見ることも話すことも、触れることすら出来る霊媒体質だったが、飛躍的に力が上がったのは死神になったあの時からだ。

「アナタはそれから数多くの戦闘を重ね、元々素養として備わっていた能力全てを開花させ、更にその力を高めています。確かに一心サンは元十番隊の隊長。卍解を会得した戦闘力の高い死神ですし、真咲サンも純血統と言われる黒崎家の最後の滅却師。その能力はアナタの中にいる虚を圧倒する程に強かった。ある意味では、アナタが強くなるのは血が成せる必然でした」

徐々に険しさを伴う浦原サンの声に、これは本当に真剣な話であることが伝わる。
場に流れる緊張感に自然と背筋が伸びた。

「ですが、アナタはそんなお二人を遥かに超える力を身につけました。今この現世、尸魂界、虚圏などにおいて、アナタの右に出る者は居ません。アナタは強い。いえ、強く成り過ぎました。京楽隊長からお話があったと思います。あの滅却師との戦い後、アナタの処遇について」
「ああ」
「今回はアナタが尸魂界の監視下に入るという、一応の理解を得たので、こうして現世に留まることが出来ていますが、近い将来、アナタだって誰かと家族を持つことも可能性としてはあるでしょう」

浦原サンはここで一旦言葉を止め、自身の前にある茶を飲み干した。

「そのお相手が、もし何の力も持たない普通の人間なら、あらゆる部分で問題が起こります」
「問題?」

そう反芻した俺に、浦原サンは深く頷いた。

「アナタの霊圧の影響で、井上サン、茶渡サンが能力を開花させました。戦闘は不可能ですが、霊力を持たなかったアナタのご友人も複数、霊力を保有するに至りました」

浦原サンが何を言いたいのか俺はすぐに理解した。
そう。井上もチャドも俺の影響で力が目覚めた。ケイゴやたつき、水色達も、いつの間にか霊どころか、死神まで見て話せるレベルまで霊的能力が跳ね上がった。

「つまり、俺の力の影響を受けるってことか?」
「その通りです」

ご理解が早くて助かります、だなんて言いながら浦原サンは続けた。

「霊的能力が一切ない女性を例えば恋人にしたとしましょう。恋人ならば当然共に居る時間が長くなり、アナタの影響を強く受ける結果になります。アナタの力は甚大です。例え霊的能力がゼロの方でも、確実に霊力を備えることになるでしょう。アナタのご学友のように受け入れられる方も勿論いらっしゃるでしょうが、そうでない可能性も十分に有り得ます。まして、井上サン達のように素養があって、戦えるレベルまで引き上げられたら、自ずとその方を戦闘に巻き込むことも考えられます」

浦原サンの話は、心のどこかにあったものだった。
それは何も恋人だの家族だのに限らず、チャドや井上、ケイゴやたつき、水色にも霊力が備わっていたと知った時から考えていたことだ。
俺の影響で、周りにいる人間の生活が一変する可能性があることを。

「そして結婚ともなると、更に問題が増えます」
「どんな影響があるんだ?」
「相手の方に霊的能力が備わるのは当然ですが、例えばその女性との間に子が出来た時、その子供はアナタの能力を受け継ぐことになります。アナタがそうであったように」
「俺のような子供?」
「これは可能性の話です。確かにアナタは一心サンと真咲サンの能力をままに受け継ぎましたけど、妹サン達は霊的能力は備えていますが、アナタのように戦えるレベルではない。修行でもしない限りは現状を維持できるでしょう。つまり伴侶となった方に強い能力があれば、霊圧をコントロールすることであるいは普通の生活を送れる可能性はありますが、アナタの方に傾けば、アナタと同じ子供が生まれます。更に、死神と滅却師、そして虚。全てを備えた子が生まれる可能性も否定出来ません。その時に、血がとても重要になるのです」
「血?」
「子供とは両親双方の遺伝子情報を受け継ぐものです。アナタは良かった。一心サンが死神でも真咲サンが釣り合う程に強い能力を有した女性でしたから。しかし、霊的能力を元々持たない、もしくは多少持っている程度の普通の女性との間に生まれる子は、アナタと同じように力は持っても、それに耐え得るだけの情報を持たない器で生まれるのです」
「身体が駄目だってことか?」
「平たく言えばそうですね。上手くアナタの方へ傾けばよいですが、そうとも限らない。遺伝は必ず双方半分ずつの情報から構成されます。霊的な遺伝は特にそうです。だからこそ瀞霊廷では、貴族は貴族同士の婚姻が望まれます。元々霊的資質の高い貴族がその能力を維持するために、同程度の資質を持つ血筋と婚姻する。これによって守られてきている。これが現状です」

浦原サンは、それも確実とは言えない検証段階のお話なんですけどね、という言葉を追加した。

「霊的能力を、例えアナタの半分継ぐとしても、普通の人間との間に出来た子供には強すぎる。そして、アナタの半分を宿した女性。端的には母体ですが、こちらはまず耐えられないでしょうね」
「それって死ぬってことか」
「可能性としては十分有り得ます。体内に巨大な力を抱えることになり、無防備な霊圧は虚の標的にも成り得ますし、肉体的な負担も相当だとアタシは考えています」

想像以上の話に俺は息を呑んだ。正直に言えば、結婚だとかは全く意識にないことだ。だが、あくまで可能性の一端であっても、知っているのと知らないのでは心持が変わる。少なくとも俺は、知ったからには『無理だ』と思った。

「けど、悲観しないでくださいね。だからその時はアタシに相談ください。お相手の霊的資質の調査、回避方法などなど出来ることは協力させていただきます」
「そうは言っても、難しい話なんだろ?」
「カンタンではありませんが、不可能じゃないですよ」

決して出来ないことは言わない人だ。
この言葉は本当なのだろう。
だが、何にしてもそういう危険があることは分かった。
それだけで十分だ。
それに―――。
普通の人間の誰かとそうなりたい、とは元々思っていない。
自分の力とその影響力くらいは分かっている。
この現世に居られるだけで、俺は十分なのだ。

「あ、一応言っておきますけど、強い霊的能力を有した方なら問題ないですから」
「あ?」
「ですから、朽木サンなら大丈夫ですよって言ったんです」
「は?」

出迎えてくれた時のようなにへらとした笑みを浮かべた浦原サンに俺は一瞬我を忘れた。
とても重要な話だった筈だ。
緊張感のある話をしていた筈なのに、浦原サンはすっかりいつものような胡散臭さを全開に笑っていた。

「正直、アナタが普通の人間の女性とどうこうしたいと思っていないことは分かっていたので言うか言うまいか悩んだんですよ。でもまあ一応知識として得ておいて欲しかったワケで。ですので、朽木サンなら問題はありません」
「何が〝ですので〟なんだよ!いきなり何を言い出すんだ!」
「朽木サンなら別に今更アナタの傍にいたって影響のえの字すら受けませんし、うっかり子供が出来ちゃったって母体がどうこうなることも、生まれてくるお子さんの身体の心配も要りませんって話ですよ。寧ろ、アナタ以上の才を持って生まれる可能性があるので、研究者としては非常に興味深い。そういう意味じゃ赤ちゃん出来ちゃったらすぐに教えてくださいね」
「何さらっとアホなこと言ってんだ!」
「アタシは至極真剣ですよ。朽木サンは強い。副隊長とはいえ既に卍解すら会得し、隊長にも匹敵する死神です。アナタとは霊質が近いということもあり相性も良い。これ以上ない配合相手です」
「配合とか言うな!つーか勝手に話を飛躍するな!」

今分かった。本当によーく分かった。
つまりなんだかんだと真剣ぶって話していたけれども、つまりこの人はこれが言いたかっただけなんだ。
いやまあ確かに重要な話だったとは思うけれども。
でも、本当の目的はこっちだ。

「出来る出来ねえとか以前に、別に付き合ってもねえっつーの!」

熱くなった頭のまま吐いた台詞に固まったのは俺ではなく、浦原サンだった。

「まだ付き合って、ない……?」
「まだとか言うな」

数秒じっと俺を見た後、丸くなった目が見る見る内に歪む。
あれはそうだ。残念そうな顔だ。
哀れみをたっぷり含んだ顔だ。

「アナタそこまでヘタレだったんスか?戦いはあんな馬鹿みたいに直情的だというのに」
「さり気なく失礼なこと連発してんじゃねえよ」
「いやはや、どうやらアタシは早合点してたようで」

帽子を被り直した浦原サンが首を捻る。
何がそんなにおかしいというのか。
もうこれは喧嘩を売られていると判断するべきなのかと思っていると、ぼそぼそと独り言にしてはやけにでかい声で彼は言った。

「もうてっきりそういう関係だとばかり……。黒崎サンお年頃ですし、うっかり性を覚えたらもう絶対ヤバイでしょうし、ぶっちゃけ突然出来ちゃいましたとか言われても困るなぁと思って言ったのに。なんでしょうねぇ、この出鼻挫かれた感というか、呆れる通り越していっそ可哀相というか」
「……オイコラ。全部聞こえてるっての。もうちょっと声潜めろよ独り言なら」
「あらぁいやですよ。聞こえてました?」
「ワザとかコラ」
「怒らないで下さいよ。悪気はナイんスから」
「悪気はなくても遊ぶ気はあるんだろ」

すると浦原サンは、またにへらと笑った。
もう嫌だ、この人。

「あはは。まあまあこれはこれとして。取り敢えず、うっかり子供出来るようなことにならないように十分気をつけてくださいね。いやまあ別にそれはそれで良いっスけど、朽木隊長が鬼のように怒るでしょうし、流石にそっちの仲介までしたくないので」
「だから、付き合ってねえって言ってんだろ!」
「あれ、そうでしたね。朽木サンの義骸の方ならまあ取り敢えずは大丈夫でしょうけど、死神の方は気をつけてくださいって話ですよ。それで、結婚するというか付き合うことになったら教えてくださいね。一心サンと同じ人間仕様の特別製の義骸にしますんで」
「分かった。よーく分かった。仮に付き合う云々になったとしてもアンタにだけは言わねえ」
「あら、つれない」

帰る、と半ば自棄になってそう言えば、浦原サンは「まいどー」といつものような軽薄な態度で手を振った。
出来る限りあの人には関わりたくないと常々思っているが、そうもいかないのが世の中。
この世に神は居ない。
居るのはああいったデリカシーの欠片もない死神だけだ、と俺は再度認識することになった。




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【あとがき】
浦原さん好きだなぁーと思う今日この頃。
しかし相変わらず遊ばれる主人公くん。
いやいや大丈夫。
誰であっても、この方には敵いません。









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テーマ : BLEACH
ジャンル : アニメ・コミック

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Author:榊伽夜
KILL ME KISS MEの管理人。
関東圏内生息中の兼業主婦。
お仕事は県内の某IT企業のWebデザイナー。
お家は四人家族で二児の育児中。
このブログは本館にアップするまでのメモ代わり(笑)

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