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[BLEACH] 両片思い 11

[BLEACH] 両片思い 11

季節外れの定番ネタ。
これネタよく書いたなぁーと思うけど、また書いちゃいました。








手の中には小さなカップケーキがひとつ。
それは色や香りでチョコレートだと分かるのだが、一体何事かと一人きりの部屋の真ん中で突っ立っていること早十数分。

「なんだこれ」

何度見てもそれはカップケーキ。チョコ味だ。まだ食べていないけれど。
コレをくれた女は、もうとっくに別世界へと帰った。
部屋に入ったら、机の辺りで云々唸っている死神が居て、また連絡もなしに来やがったなと悪態を吐きつつも、アホのように歪みそうになる顔の筋肉に必死に力を篭めていた。
今更素直になるつもりは微塵もないのだ。
それに嬉しいなどと思うことすら癪だ。
誰に対する釈明かも分からないまま、出来るだけ不機嫌を装って肩を叩いて声を掛けると、びくん、とそれはそれは大袈裟に跳ねた肩。瞬時に振り返った顔は赤くて、すぐにでかい目が細められた。
触られることを極端に嫌う女、つまるところルキアが口を開くより前に耳を閉じる。
どうせまた触るな、と叫ぶつもりなのだろうから。
しかし、数十秒待ってもお叱りはなく、寧ろ何も言わない。
いや、何か言いたそうにしているのだが、言わないのだ。

どうした、と声を掛けると、また肩がびくりと跳ね、アレ俺今触ったっけ、と思わず自分の手を見たが、ちゃんと腰辺りで留まっていた。
うー、と低い声を発すると、ばっと音がしそうな勢いで顔を上げたルキアが、これ、と勢いとは裏腹のか細い声で小さな包みを押し付けてきた。
反射的に受け取ると、ルキアは「じゃあ」とそれはそれは素っ気無く窓から出て行った。
いつも帰るときに掛ける「気をつけて帰れよ」という言葉も出す隙もない、あっという間の出来事だった。
良く分からないが、アイツも忙しい身だ。
何の用かは知らないが、取り敢えず貰ったコレを見てみようと、金色のリボンを解くと、手のひらサイズのカップケーキが現れた。
それが現在である。

「食えってことなんだろうけど」

これを渡した目的が全く分からない。
いや、単に食えという話なのだろうか。
辻斬りか通り魔のように押し付けて帰ったルキアに連絡して聞く手もなくもないが、何となくやりづらい。
余りの意味不明さに、これはまさかのドッキリなのかと思わず部屋中を見回した。ドッキリならきっとどこかにカメラなりマイクがあるはずだ。出所は間違いなく浦原商店だろう。そうに違いない、と手の中のカップケーキは机に置いて部屋中を探りまわった。
しかし、探せど探せど何も見つからない。
見つかったとすれば、ルキアが勝手に残している私物の山だ。
あんまり来ない癖に、モノだけは確実に増えている。というか人の部屋にナマモノ置くとかねえだろ。なんだよサボテンって。しかも押入れに入れっぱって意味分かんねえし、これ悪戯通り越して嫌がらせだろ。
まあこれだけ探しても見つからないんなら、取り敢えずは大丈夫だろうと思う。たぶん。あんまり自信はないが。

「どうすっかな」

机のカップケーキをもう一度見る。
茶色地に白抜きのウサギが何匹が飛んでるカップにこんもりと盛り上がったチョコ生地。中央にはざっくりしたチョコが突き刺さるように数個。ある意味芸術の域に達している形状のそれは、誰がどう見ても手作り感が漂っている。
あのルキアが手作り。
いや別に手作りで料理とかすんの知ってるし、カレーとか肉じゃがとか何故かいつも寸胴鍋であふれんばかり作っているの見てるし、料理事体は驚かない。ただ菓子ははじめてだ。いや、白玉はあったけど、こういう現世の菓子類は。
食べればいいのだが、理由が分からないのは困る。
まさかの毒見かと過ぎるが、何か仕掛けているなら帰らないだろうし、あんなに照れているのも不自然だ。
ああ、そうだ。そう言えば顔が赤かった。
じゃあ、プレゼントのつもりだろうかと何となしにカレンダーを見た。
今日は十四日。冬も盛りでかなり寒い夜だ。
時計を見れば、午後九時過ぎ。
寝るにはまだ早い。間食は、まあ多分良くはねえけど、大丈夫だろう。それ以上に動いているのだから。
焼き菓子とはいえ、多分そんなにもたないはずだ。ならば食べてしまうのが得策だろうと手に取るものの、ふと部屋に入った経緯を思い出す。
バイトから帰ったばかり。いつもなら先に風呂に入る。それがセオリーだ。
先に風呂にするか、それとも食ってからにするか数秒悩む。
大した差はないが、手にしているそれはまだほんのり温かい。つまりは出来立て。なら食べるのが先だな、とベッドに腰掛けたその時だった。
コンコンとドアを叩く音に返事をすれば、遊子が顔を覗かせた。

「入ってもいい?」
「おう」

ちょこちょことやって来た妹は、後ろ手に隠していたらしいそれを、はい、と俺に差し出した。

「なんだ?」
「今日バレンタインでしょ?だからチョコレート。勿論手作りだよ。夏梨ちゃんと一緒に作ったの」
「ああ、そっか。てか夏梨も?珍しいこともあるもんだな」
「悪かったね、珍しくて」

居るのに気づかなかったもうひとりの妹が眉間に皺を寄せながら入って来た。

「別に悪くねえよ。二人ともサンキューな」
「うん」
「お返し期待してるから」
「もう夏梨ちゃんたら」
「いーぜ。好きなモン買ってやるよ」

ここにルキアが居たら、貴様は妹には甘い、と突っ込むだろう。
そうしたら返す言葉は決まっている。どこの世界の兄だって妹には甘いもんだ。どっかの誰かさんのところだって甘いじゃねえか、と。
まあ鈍いアイツが気づくことはないだろうが、白哉だってルキアには甘い。べらんぼうに。だから俺はあっさり開き直ることが出来る。
そんなことを思いながら、妹から受け取ったチョコレートの包みを開ける。
遊子は年々手作りとは思えないものを作る。今回も既製品以上の見栄えで素直に感嘆する。我が妹ながら本当に大したものだ。そういえば、夏梨も手伝ったようだが、見た感じではどれだかは分からない。
じっとチョコを見ていると、俺の疑問を察したように夏梨が言った。

「あたしはチョコ刻んだり、湯銭したり、ラッピング手伝っただけ。味の調整や形作ったのは遊子だよ」
「へぇー。にしても珍しいよな、お前が一緒に作るのは。親父の奴、泣いて喜んだんじゃねえの?」
「いつもの十倍はうざかったよあのヒゲは。ああ、さっきルキアちゃんにも貰っていたから、余計うざいよ。今は下に行かない方がいい」
「え?ルキア?」

何を言っているんだとチョコから顔を上げると、夏梨は少しだけ驚き、けどすぐにニヤリと笑った。

「一兄の手の中にあったそれ」
「あ?」

指差された先にはルキアから貰ったカップケーキだ。

「これがなんだよ」
「だからバレンタインじゃん」
「は?」

ぴしっと氷が張ったように思考が止まった。

「すごい頑張って作ってたんだよ、ルキアちゃん」
「そうそう。遊子に教わりながらね」
「だから、ちゃんと食べてあげてね、お兄ちゃん」
「よかったね~一兄」

あ、それ食べてからでいいけど、お風呂空いてるから、と言って去っていった妹達に気づいたのは、「もう何やってるのお兄ちゃん!早くお風呂入って!」と再度促されたときだった。






【続く】





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これまでのものを読み返しました。
ひどいズレがあったので、時間あるときに直します。
取り敢えず今はスル―して下さいませ。
おねがいします。


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ジャンル : アニメ・コミック

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榊伽夜

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KILL ME KISS MEの管理人。
関東圏内生息中の兼業主婦。
お仕事は県内の某IT企業のWebデザイナー。
お家は四人家族で二児の育児中。
このブログは本館にアップするまでのメモ代わり(笑)

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