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[BLEACH] 両片思い 12

[BLEACH] 両片思い 12

ひっさしぶりの投稿です。
いろいろすみません。
キリがよくないですが、次の話は早めにあげます。








不意打ちを食らわされたバレンタインから早一ヶ月。
なんだかんだと定例報告で一度会っただけ(しかも一言交わして終わり)だったのだが、今とんでもない状況に立たされている。
大体、一月も終わりにバレンタインだと言って渡された(普通ではなかったが)にも関わらず、まさか当日にも渡されるなどと誰が予想出来ただろうか。少なくとも俺は予想していなかったし、ぶっちゃけ十四日という日付を見ても、バレンタイン当日というものを思い出さなかったくらいだ。
しかし、結果はきっちり残っている。
結局俺は二つ貰った。片や既製品だが、当日に貰ったのはカップケーキ一個とは言え手作りのものだ。
貰った以上はお返しをする。
これは子供の頃から習慣化していた行為なのでそれ自体に疑問はないが、しかし今回のようなケースは初めてだ。正直どうしたらいいのか分からない。
なまじ一ヶ月と言う猶予もあり、受験結果だ手続きだバイトだ虚退治だと多忙を極めていた俺は、それら全てを有効的に先延ばしにする理由にした。
―――そのザマ(結果)が今である。

ホワイトデー直前の週末。
俺は妹二人に引っ張られ、今こうして駅前のショッピングモールに来ている。
女子供だらけの雑貨店やらなんやらが立ち並ぶこの場所には、普段なら近寄らない。それはそうだろう。だって男の比率がかなり低い。居たとしても明らかにカップルと分かる女連れの男だけだ。
ついでに言うなら、妹に連れられた兄というのは更に少数派だろう。寧ろこの場には俺しかいないかもしれない。
そんなことを思っている俺とは対象的に、遊子も夏梨もはしゃぐように店を見て回っている。

「あたしはこれでいいや」
「えー!夏梨ちゃんもう決めたの!?私はどうしよう~」

到着して十分と立たずに夏梨は決めたようだ。

「どれだ?ってお前これでいいのかよ」

夏梨が選んだのは洋服だった。
しかもかなりボーイッシュ……というか黒いジャージ。
いやお前ジャージって。

「お前ジャージ結構持ってるだろ?偶には普通の服とか、飾りモンとか。中学生なんだしもうちっとこう……」
「えー?でも見るからにあたしに不似合いなものばっかだし」
「そうでもねえだろ。お前だって女子なんだから」

口をへの字にして考え込む夏梨に遊子が傍にあったレディースもんの店先に引っ張った。
ディスプレイされている服を指差してにっこり笑った。

「ほらこれとかは?」
「えーヤダよ。スカートじゃん」
「どーして?制服だってスカートだし。夏梨ちゃんスカート似合ってるよ?」
「ヤダヤダ。冗談じゃない。しかもふりふりとか有り得ない。遊子の方がよっぽど似合うっしょ」

即座に却下された遊子は隣のディスプレイを指差す。
しかし本当にここまでスカートを毛嫌いするのもどうなんだろうか。中学生とはいえ女心は複雑だ。

「うーん。じゃあコレは?ワンピース。フリルないしAラインでシンプルだし」
「これはどっちかっていうとルキアちゃんでしょ。ねえ一兄」
「は?」

突然回ってきたお鉢に驚いていると、夏梨はぐいっと俺の腕を引っ張った。

「あー、でもルキアちゃんはこっちかなぁ。ほら真っ白でルキアちゃんの刀みたいじゃん。小さくて細いからこういうの似合うよね、ルキアちゃんは」
「なんだよ突然。てかお前自分の選べって」
「ルキアちゃんのまだ選んでないんでしょ?」

突然の切り込みに思わず黙ると、夏梨はにやりと笑った。
確かに今日現在まだ用意はしていない。用意をするつもりはないとは言わないが決まっていないのだ。

「そうだろうと思ってわざわざ今日連れ出したんだから。な、遊子」

すると夏梨は遊子の方を見て笑う。すると遊子もえへへと笑った。
この展開は何だろうか、などと考えるまでもなく、嵌められたのだと知る。
俺はここ数年のホワイトデーを思い出す。
いつもは二人とも欲しいものでもなんでも決めて、それを俺に言う。そんで聞いたものを俺か親父が買いに行くのだ。ちなみに去年は親父が買いに行った。

「一緒に行こうとか言ったのはその為だったのか」

溜息を吐くと、夏梨はにかっと笑った。

「だって一兄。一人じゃ絶対決められないだろうし。最近ずっと悩んでいたでしょ。遊子の雑誌見ながらあれでもないこれでもないって」
「お、おま……」
「見ようとして見たんじゃなくて、一兄が勝手にリビングで見てたんだからな」
「そ、それは」
「そりゃ、遊子に女モンの雑誌見せてくれなんて言えねえのは分かってるけどさ。それならそれでもっと周囲に気をつければよかったじゃん」

ごもっともです、とは流石に言えなかったが、何にしても見られていたとは思わなかった。

「で、決まってないんだろ?」
「……はい」

がくんと項垂れながらそう答えれば、素直じゃん、という兄の威厳も糞もない妹の感嘆具合に更に凹みそうになる。

「取り敢えず、あたしらの選んでご飯食べてそれからルキアちゃんの探そうか」
「うん。賛成!」

わあい、と両手を挙げて喜んだ遊子とにまにまとしている夏梨を見ながら、もう今日ばかりは兄の威厳どうこうより、素直に言うコトを聞くべきだろうと心から思った。



*



そしてあっという間に来た三月十四日。
嫌なくらいの快晴の空の下、俺は部屋の中でひとりウロウロしていた。
傍から見れば不審者だろうが、別に誰が見ているワケでもない。更に言うならいちいち気にしている余裕すらない。
机の上にはなんやかんやとあったが、何とか用意することが出来たホワイトデーのお返しの包み。手にはスマホ。そしてウロウロする俺。
何度も着信画面を開くが、どうにも踏み出せない。
妹にまで迷惑を掛けて用意したコレを渡さないワケにはいかない。
だが、結局約束を取り付けることが出来ないという体たらく。
浦原サンが見ていたら、また『ヘタレ』と呆れることだろう。ああ今度は夜一サンも一緒になって言いそうだ。
だが、この期に及んで踏み出せない自分が居る。
貰ったものに返すのは最早礼儀だとも思っているが、そこに事情が伴うと心境はガラリと変わる。変に意識なんかしないで渡せばいい。
ほらお返しだ、と一言添えて渡してハイ終わりだ。
言葉にすればこんなものなのだが、そもそも渡すための取り付けすら出来ていないのである。

「とか何とかしている内に夕方になっちまう」

間もなく夕焼けに染まりそうな空を窓から覗く。
ああクソ、なんだってこんなにアホみたいに悩まなくちゃならないんだ。
もういっそ空から降って来てくれりゃいいのに、なんてとうとう他力本願まで陥った体たらく。
情けないにも程がある、ともう何度目か分からない溜息を吐いたときだった。
ぴろーん、と間抜けな着信音。

「うわっ!!?」

あんまり驚き過ぎて落っことしそうになったスマホを慌てて握り直す。
届いたのは一通のメール。しかもタイムリーな相手。
急いで中身を見れば、『今から行く……というか着いた』というとんでもメールだった。

「行くっつーか、着いた!?」

何処だと見回せば、窓の外で「よっ」と手を上げているルキアの姿。
声が出る前に窓を開けてするりと入って来ると二つの紙袋を掲げた。

「突然すまんな。忙しかったので、連絡が直前になってしまった。来た早々悪いが遊子と夏梨はいるか?」
「は?遊子に夏梨?」

唐突過ぎる要望に首を傾げている俺を特に気に留めず、ルキアは部屋のドアを開ける。

「下に居るようだな。ちょっとこれを渡してくる」

右手の紙袋をくいっと上げたルキアは、俺の答えも待たずにとっとと行ってしまった。
室内に残された俺はこの唐突な展開になかなか付いていけなかったのだが、これはもしかしなくてもチャンスなんじゃないのかと思い始めた頃、ルキアが戻ってきた。

「二人とも居てよかった。いや、本当にすまぬな」
「別に。つーか、あいつらに何の用だったんだよ」

内心はどのタイミングで渡そうかという緊張でいっぱいだったが、さっきまで手にしていた紙袋がないのでまず間違いなく二人に渡したのだろうと思いながら聞いた。

「今日はホワイトデーだろう?それで二人にもと思って」
「は?お前が?」
「私もだが、兄様もだ」
「白哉!?なんで!?」

ここ最近、がっつり避けていた相手の名前に仰け反らんばかりに驚いた。

「遊子と夏梨が私にも兄が居ると言ったら、じゃあバレンタインの贈り物をしたいと言ってくれてな。あ、あと恋次にもくれたのだ。前にこちらに来た時にばったり会って、その縁でな。遊子がお兄ちゃんがお世話になっているし、と言っておった。本当によく出来た妹達だな」

あいつら俺には一言も言わずに、と思うが、それもまたあいつららしい。
遊子は特に誰かに贈り物をするのが好きだ。夏梨だって口には出さないが思っていることは同じなのだろう。

「で、お前達は何をやったんだ?」
「ああ。私は向こうの和菓子をな。見栄えの良いものというか可愛らしいものを選んでみた。恋次はたい焼きにするとか抜かしたのだが、流石にそれは止めたら匂い袋なんていう小洒落たものを用意しおった」
「匂い袋?」

なんだそれ、と思った俺を察したようにルキアは丁寧に説明してくれた。
常温で香りを発する香料を詰めた布袋のことらしく、俺の中では香水みたいなもんと位置づけておいた。

「兄様は浴衣だ」
「浴衣!?」

季節外れという文字が浮かんだのも事実だが、何よりも驚いたのはそれを朽木家御用達の呉服店で作らせたという話だ。妹達がやったのはおそらくはチョコレートだ。そのチョコレートひとつに特注の浴衣。やっぱり金持ちの金銭感覚は分からねえ。

「私が世話になっていることも含め礼を兼ねてとおっしゃっていたからそう気にすることもあるまい。まあ二人とも大層驚いていたがな」
「そりゃそうだろ」
「そういう貴様には洋服を買って貰ったと言っておったぞ。なかなかやるではないか」
立派な兄だなと顔を綻ばせたルキアは、ふと部屋の時計を見上げた。

「おっといかん。すまんがこれでお暇させて貰うぞ。まだ届けなければならないところがあるのだ」
「え?あ、ちょっと待て!」

またしても嵐のように去ろうとした腕を取って引っ張る。少々乱暴だったかと思うが今回ばかりは目を瞑って欲しい。ついでにうっかり触ってしまったこともだ。
ルキアは訝しげに俺を睨むように見上げた。

「なんだ?」
「時間全然ねえの?」

するとルキアは懐から伝令神機を取り出した。

「井上にあちらからのお返しを届けたい。それからでも良いか?」

少しの逡巡。今この勢いで渡してしまう方が気は楽だが、まともに会うのも話すのも久しぶりだという気持ちが天秤を大きく傾けた。

「構わない」
「分かった。出来るだけ早くに戻る」

ふっと息を抜いたような柔らかな声でそう告げると、ルキアは窓から飛び出して行ってしまった。
これで仕切り直しだ。正直、勇気の必要な選択になったわけだが、もうこの際、否。ここら辺でいい加減決着を着けたい。なんやかんやとあったが、事態は暗転こそしていないが好転だってしていないのだ。それに今月末には一人暮らしをはじめる。引越しは来週。ああ、そうだ。メールでしか報告しなかったが受験も何とか受かった。四月からは晴れて大学生。所謂節目という奴だ。この機を逃す手はない。
よし、と気を入れ直し、戻ってきたらまずはココアでも飲ませてやろうと、キッチンへ向かった。






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色々つっこみどころ満載ですが、もう少しお付き合いくださいませm(_ _)m


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テーマ : BLEACH
ジャンル : アニメ・コミック

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KILL ME KISS MEの管理人。
関東圏内生息中の兼業主婦。
お仕事は県内の某IT企業のWebデザイナー。
お家は四人家族で二児の育児中。
このブログは本館にアップするまでのメモ代わり(笑)

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